個人的なことなんだけど、ボクにとって香港は特別なところ。
1994年に、生まれた初めて行った外国が香港だったから。
これがそのときの宿。
この時はベッドに空きがなかった。
「そのソファーでいいなら」ということで、ここで人生初の海外での夜を過ごすことになる。
アヘン戦争(1840~1842)で、清(中国)がイギリスに負けたことにより、香港はイギリスに取られてしまう。
イギリス領だった香港は1997年に中国に返還された。
でも、問題はある。
イギリスは資本主義の国で、中国は社会主義の国。
中国に返還されたら、香港の社会もいきなり社会主義になってしまうのか?
そんなんムリムリ。
ということで中国は、香港では資本主義を認める「一国二制度」を適用した。
高校世界史ではこう習う。
一国二制度
社会主義国である中国への返還後も、香港・マカオを特別区とし、資本主義制度を併存させること。
「世界史用語集 (山川出版)」
*マカオは1999年に、ポルトガルから中国に返還された。
今年2017年は、香港がイギリスから中国に返還されてちょうど20周年になる。
テレビや新聞で香港の特集を見た人も多いと思う。
そんな記念の年なので、今回は香港の基本情報や日本との違いについて書いていきたい。
まずは香港の大きさ。
香港の面積は東京の約半分。
重ねると下の地図のようになる。
香港とマカオはとても近い。
東京~富士山の距離とほぼ同じ。
香港は中国の特別行政区になっている。
基本的な情報を次にならべる。
・面積:1,103平方キロメートル
・人口:約729万人(2015年7月)
・民族:漢民族(約95%)
・言語:広東語,英語,中国語(北京語)ほか
・宗教:仏教,道教,プロテスタント,カトリック,イスラム教,ヒンドゥー教,シーク教,ユダヤ教
外務省のホームページ「香港基礎データ」から。
香港の宗教で仏教と道教は中国の影響だけど、後のものはイギリス植民地時代の置き土産だろう。
香港の面積は北海道の札幌(1,104平方キロメートル)とほぼ同じ。
でも人口がまるで違う。
札幌の人口は約200万人だけど、香港の人口は約740万人と約4倍。
だから、香港の人口密度はすさまじい。
「香港」という漢字を見て不思議に思ったことがある。
なんで「香る港」なのか?
いったい、何が香るのか?
調べてみたら、それは香木だった。
香木とは読んでの字のごとく、良い香りがする木のこと(ホントそのまんま)。
この香木に火で熱を加えると、良いにおいがしてくる。
人びとはその香りを楽しんでいた。
これは蘭奢待(らんじゃたい)という香木(ウィキペディア)
香木は日本でも人気があった。
日本で一番有名な香木は、東大寺の正倉院宝物に収められている「黄熟香」(おうじゅくこう)だろう。
正倉院に保管にされているというだけでもすごい。
さらにこの黄熟香の香りを楽しんだのも、並みの日本人ではない。
室町幕府8代将軍足利義政、織田信長、明治天皇の3人は付箋によって切り取り跡が明示されている。東大寺の記録によれば、信長は1寸四方2個を切り取ったとされている。
「ウィキペディア」
ちなみに、先ほどの「蘭奢待」という言葉には「あるお寺」が隠されている。
よ~く見ると、「東・大・寺」という漢字がある。
これで東大寺をあらわす。
日本人のちょっとした言葉遊びだ。
何の香木かはわからないけど、「香港」の地名はこの香木に由来するという。
地名の由来にはいくつか説があるけど、この「香木説」が有力とされる。
産経新聞のコラム・産経抄から。
もっとも有力なのは、明の時代にこのあたりに植えられていた香木に由来するというものだ。外国産の高級品の取引の場でもあった。
▼「しぜんに『香』の港という名称がうまれたのかもしれない」と、作家の陳舜臣さんはいう(『香港』)。
ウィキペディアでは香港の由来についてこう説明している。
香港(ホンコン)という名称は珠江デルタの東莞周辺から集められた香木の集積地となっていた湾と沿岸の村の名前に由来する。
香港の「香」は香木のことでまず間違いない。
日本に住んでいた香港人の女性に、日本と香港の違いを聞いたことがある。
日本と香港にはいろいろな違いはあるけれど、その人は物価をあげていた。
地下鉄やバスといった公共交通機関や食料品などは日本のほうが高い。
日常生活でよく使うものは香港人のほうが安いけど、ぜいたく品は日本より香港のほうが高いという。
その香港人が日本で「メチャクチャ安い!」と感じたのはマンションの家賃だった。
日本と香港の違いをきかれたとき、最初に頭に浮かんだのは家賃の安さだという。
香港では土地の値段が飛び抜けて高い。
さっきも書いたのだけど、香港の特徴といえば、何といっても人口密度が高いこと。
札幌市とほぼ同じ面積、東京都の半分ほどのところに、約740万人が住んでいる。
東京の人口が約1370万人であることと比べたら、人口密度はそれほど変わらないようにも感じる。
でも香港では、人が住むことのできる場所がとても少ないのだ。
香港は山岳地を多く抱えるため、単純密度は東京23区よりも低いが可住地の人口密度は非常に高い。地区によっては 50,000人/km2を超え、高層マンションなどの集合建築が密集している。
「ウィキペディア」
「香港では家賃がどれぐらいするんだろう?」と思って、2LDKのマンションの家賃を見て驚いた。
九龍半島 HK$20,000(28万円)〜
香港島 HK$30,000(42万円)〜
浜松市で2LDKのマンションの家賃なら5~6万ほど。
友人の香港人がもっていた日本の印象は、ほとんどが浜松でつくられたものだろう。
香港と日本の違いについて聞かれたら、「マンションの家賃!」という答えが一番先に来てもおかしくはない。
香港では土地代が異常なほど高い。
だから香港で家をもつことなんて、とても考えられないという。
その人の知り合いには、中国に住んでいる香港人もいるという。
毎朝、中国から香港の職場まで電車で通っている。
そんな香港人はめずらしくないらしい。
せまい土地にたくさんの人が住まないといけないから、どうしても高層建築が多くなる。
するとこういう状態になる。
「カラパイア」の記事をご覧ください。
ボクはビックリしました。
香港といえば「百万ドルの夜景」が有名だけど、昼間の香港もなかなか衝撃的。
おまけ
中国の列車から見た様子
こちらの記事もいかがですか?
カラパイアさんのあの画像は近未来ディストピア感がスゴいですよね(笑)
それが香港の魅力のひとつでもありますが。
しかし、東京在住の私は以前1Kで6万9000円、現在2DKで10万7000円の場所に住んでいますが、浜松の家賃は安いですね。
東京だとこれでも安いというのが……(泣)
まあ、給料はその分高いですし、香港よりは安いのでしょうが……。
それはそうと蘭奢待は昔ゲームの太閤立志伝Ⅴでなぜか行商人が持っていたので即買いした記憶があります(笑)
ボクも香港に行ったことがありますが、あんな光景は見ませんでした。
「近未来ディストピア感」と言うのですね。新しい表現を知りました。ありがとう。
浜松は安いですよ。給料もそれなりですけど。
「太閤立志伝Ⅴ」というゲームも初耳です。蘭奢待が出てくるの何気にはすごいです。ゲームを製作する側はいろんなことを調べているなあ、と感心しますよ。